Javaプログラミングにおいて、クラス名の命名規則はコードの品質を左右する非常に重要な要素です。
この記事では、Javaにおけるクラス名の正しい付け方(命名規則)について、基本ルールから具体的な良い例・悪い例、さらにはメソッドや変数との違いまでを徹底的に解説します。
世界標準のルールをマスターして、誰が見ても読みやすく、美しいコードを書けるようになりましょう。
![]() 執筆者:マヒロ |
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Javaのクラス名における基本的な命名規則
Javaのクラス名には、長年の慣習と公式の推奨に基づいた鉄則が存在します。
これらを守ることで、その識別子が「クラスであること」が一目でわかるようになり、開発効率が格段に向上します。
PascalCase(アッパーキャメルケース)を採用する
Javaのクラス名は、単語の先頭を大文字にする「PascalCase(パスカルケース)」、別名「アッパーキャメルケース」を使用するのが絶対的なルールです。
複数の単語を組み合わせる場合は、それぞれの単語の頭文字を大文字にし、区切り文字(アンダースコアなど)は使いません。
例えば、「ユーザーのアカウント」を表すクラスを作る場合、「useraccount」や「user_account」ではなく、「UserAccount」と記述します。
このルールにより、小文字で始まるメソッド名や変数名と明確に区別することができます。
名詞を使用する
クラスは「モノ」や「概念」の設計図であるため、クラス名には基本的に「名詞」を使います。
動詞はメソッド名(動作)に使われるものであり、クラス名には適しません。
例えば、計算を行うクラスであれば「Calculate(計算する)」ではなく、「Calculator(計算機)」と命名するのが適切です。
処理の内容ではなく、その処理を行う「主語」や「オブジェクト」を表現する言葉を選ぶように心がけましょう。
具体的で意味のある名前をつける
クラス名を見ただけで、そのクラスが何をするものなのか、どのようなデータを持っているのかが想像できる名前が理想的です。
「Manager」や「Data」といった抽象的すぎる名前は、役割が曖昧になりやすいため避けるべき傾向にあります。
「LoginManager」や「CustomerData」のように、具体性を持たせることで、コードの可読性が高まります。
名前が長くなることを恐れず、役割を正確に表す単語を選ぶことが、バグを減らす第一歩となります。
良いクラス名と悪いクラス名の具体例
ルールを理解したところで、実際のコードを見ながら良い例と悪い例を比較してみましょう。
具体的なイメージを持つことで、自分のコードに応用しやすくなります。
OKな例:役割が明確な名前
以下の例は、Javaの命名規則に則っており、かつクラスの役割が明確に伝わる良いクラス名です。
// 顧客情報を表すクラス
public class Customer {
// ...
}
// 商品の注文処理を行うサービス・クラス
public class OrderService {
// ...
}
// HTTPリクエストを処理するハンドラー
public class HttpRequestHandler {
// ...
}
これらの名前はすべて大文字から始まり(PascalCase)、名詞であり、何をするクラスなのかが明確です。
例えば OrderService であれば、注文に関するビジネスロジックが含まれていることが容易に想像できます。
NGな例:曖昧な名前や禁止文字の使用
一方で、以下のようなクラス名は推奨されません。
コンパイルエラーにはならなくても、メンテナンス性を著しく低下させます。
// NG: 小文字で始まっている(変数と見分けがつかない)
public class customer {
}
// NG: アンダースコアを使用している(Javaでは一般的ではない)
public class Order_Service {
}
// NG: 動詞になっている
public class Save {
}
// NG: 名前が抽象的すぎて中身がわからない
public class Info {
}
// NG: 略語を使いすぎて意味不明
public class CustMngSys {
}
特に Info や Data といった汎用的な名前は、開発が進むにつれて「何の情報なのか」「何のデータなのか」が分からなくなり、神クラス(何でも詰め込まれた巨大なクラス)化する原因となります。
また、Javaではクラス名にアンダースコア _ を使うことは文法上可能ですが、慣習として避けるべきです(テストクラスなど一部の例外を除く)。
クラス名以外のJava命名規則との違い
Javaにはクラス以外にも、メソッド、変数、定数、パッケージなどがあり、それぞれ異なる命名規則があります。
これらを混同しないように、違いを整理しておきましょう。
メソッド名・変数名のルール(ローワーキャメルケース)
メソッド名や変数名は、先頭の単語を小文字にし、2語目以降の頭文字を大文字にする「camelCase(ローワーキャメルケース)」を使用します。
public class UserProfile {
// 変数名:先頭は小文字
private String userName;
// メソッド名:先頭は小文字、動詞から始めるのが一般的
public void updateEmailAddress(String newEmail) {
// ...
}
}
クラス名(大文字開始)とメソッド・変数名(小文字開始)を使い分けることで、コードの中で「型」と「実体・動作」を瞬時に識別できるようになります。
定数のルール(アッパースネークケース)
static final で宣言される定数は、すべての文字を大文字にし、単語の区切りにアンダースコアを使用する「UPPER_SNAKE_CASE(アッパースネークケース)」を採用します。
public class MathConstants {
// 定数名:すべて大文字、区切りはアンダースコア
public static final double PI_VALUE = 3.14159;
public static final int MAX_RETRY_COUNT = 3;
}
これにより、その値が変更不可能な定数であることが一目でわかります。
パッケージ名のルール(すべて小文字)
クラスをまとめるパッケージ名は、すべて小文字で記述し、単語の区切りにはドット . を使用します。 アンダースコアや大文字は使いません。
// パッケージ名:すべて小文字
package com.example.project.service;
public class UserService {
// ...
}
ドメイン名を逆順にしたもの(例:com.google)をプレフィックスとして使うのが一般的です。
命名規則を守るべき理由とメリット
なぜこれほどまでに命名規則について厳しく言われるのでしょうか。
それは、単なるマナーの問題ではなく、開発の品質と効率に直結するからです。
コードの可読性が向上する
一貫した命名規則が守られているコードは、まるで文章を読むようにスムーズに理解することができます。
逆に、規則がバラバラなコードは、読み手が「これはクラスなのか?変数なのか?」といちいち考えなければならず、脳のメモリを無駄に消費してしまいます。
読みやすいコードは、引き継ぎのコストを下げ、将来の自分自身を助けることにもつながります。
チーム開発でのトラブルを防ぐ
複数人で開発を行う際、命名規則は共通言語となります。
「クラス名は大文字で始める」という共通認識があれば、コードレビューの際に無駄な指摘をする必要がなくなり、ロジックの確認に集中できます。
統一感のあるコードベースは、バグの温床となる「表記ゆれ」や「勘違い」を減らす効果があるのです。
バグの発見が容易になる
適切な名前がついていれば、誤った使い方がされた時に違和感を覚えやすくなります。
例えば、Customer というクラスの変数に product という名前のインスタンスが代入されそうになっていれば、即座に間違いに気づくことができるでしょう。
命名規則は、コンパイラでは検出できない論理的なミスを防ぐための、人間向けのセーフガードとしての役割も果たします。
Java命名時のよくある質問と注意点
最後に、Javaの命名に関して初心者の方が疑問に持ちやすいポイントについて回答します。
細かい部分ですが、知っておくと迷わずに済みます。
数字や日本語は使ってもいい?
Javaの仕様上、クラス名に数字を含めることは可能ですが、先頭に数字を使うことはできません(例:1stClass はエラー)。
また、日本語(全角文字)も使用可能ですが、実務では推奨されません。
環境によって文字化けの原因になったり、入力の切り替えが手間になったりするため、基本的には半角英数字のみを使用するのがマナーです。
略語は使わない方がいい?
一般的に認知されている略語(ID、URL、HTTPなど)であれば使用しても構いませんが、独自すぎる略語は避けるべきです。
「Mgr」(Manager)や「Svc」(Service)などは通じる場合も多いですが、「Cust」(Customer)や「Addr」(Address)などは、タイプ量を減らすメリットよりも可読性を下げるデメリットの方が大きくなりがちです。
迷ったら省略せずにフルスペルで書くようにしましょう。
最近のIDE(統合開発環境)は補完機能が優秀なので、長い名前でも入力の手間はそれほど変わりません。
予約語に注意する
Javaには、すでに言語仕様として意味が決まっている「予約語」があります。
class, public, void, int, return などがこれに当たります。
これらをクラス名としてそのまま使うことはできません。
もし似たような名前を使いたい場合は、MainClass や PublicData のように、他の単語と組み合わせて回避しましょう。
Javaのスキルを活かして年収を上げる方法
以上、Javaのクラス名の命名規則について解説してきました。
なお、Javaのスキルがある場合には、「転職して年収をアップさせる」「副業で稼ぐ」といった方法を検討するのがおすすめです。
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